― 礼拝堂 ―[>>1:246 鼻をすんと鳴らして、胸一杯にリエヴルの匂いを吸い込んで――。優しく背中を撫でる手と、凪いだ海のような穏やかな声。子供の頃、いつも寝る前に子守歌をささやいてくれた父を思い出せば、遠い記憶は懐かしく。ともすると微睡みの奥底に引き込まれそうで。それでも鼓動の速さが、単なる親しみや懐かしさだけじゃないのだと物語り。新しく涙が溢れてくるせいで、なかなかはっきりしない視界を。ぎゅっと目を閉じて振り払う。そっと静かに身体を離して。]