[軍が事前に御名玉璽を作成されてない、という事実を明かしたら弟はすぐ様幼馴染の方に視線を向けた>>157。
何か言いたそう雰囲気を持つ弟は何も知らされてないのかも知れない、そう思えば貴族達の偽装を疑わざる得ない。
それでも弟は冷静を保ちながら二つの可能性を提示するが……>>159。]
――それは有り得ぬ話。
父上は、寛ぐ場でも公文書を見せない慎重な御方だ。
後継者を発表する時点で、「万が一」の事を考慮し御名玉璽を残し、その旨を公表なされた方が有益なのはご承知の筈。
そうする事で「万が一」の事が起きる可能性を出来得る限り抑える事も可能である上に、牽制となりうるだろう。
王太子の発表する、という意思を示して時間が経って尚報告されてないのか、強い疑念が残ると言えよう。
[軍に知らせる事が出来なかった、と言う可能性を示唆する弟に対し、此方は眉間の皺を刻まざる得なかった。
急な呼び立てが有ったと告げる幼馴染の言葉に対しては明らかに嘘だという事に気付き>>168、此方は睨み付ける。何故ならば――――。]