[ 王国に真っ向から抗い、その結果物量に任せた圧倒的な攻勢に曝され、脆くも滅び去った領主の子である、と正直に告げるわけにはいかなかった。けれど、当時の情勢を鑑みれば、その出自を想像することは容易だったろう。王国との軋轢を避け、自国の安寧を最優先するならば、このまま追い返されるか、悪くすればこのまま密かに処分される可能性すらある、とは、すでに15歳であった少年にも判っていた ]