― Nルーム付近 ―
[ナイフの柄を握り、いつでも抜けるようにしながら慎重に歩みを進める。
音の出ない歩き方……それはゴミにあふれた場所で普通に歩くために、自然と身に着けた歩き方。
……そのとき。
―――パァン!
先ほどと同様の破裂音。
やはり聞き間違いではなかったのだ。
捉えた音は、まごうことなく銃火器の音で。>>246
一発目よりも、大きく聞こえたことを鑑みても、近くで放たれていると考えて間違いないだろう。]
っ!誰が……
[拳銃を携帯できる人間……と、そこまで考えて武器庫があることを思い出す。
そして同時にロックが掛からない状態であることも思い出し、内心で舌打ち。
今まで慎重に歩んできた足は、それを忘れたかのように地面を蹴った。
しかし、今までの慎重さが、警戒心が……仇となる。
聞こえたとはいえ、まだ遠いことに、盛大に眉を寄せた。
音の元への到着は、……まだ。*]