さて、まずは助力を頂ける事に深く感謝申し上げましょう。
監査局は軍と違って少数精鋭のため、常に人手不足でして。
細々とした雑務に気を取られることが無くなれな、安心して調査に取り組めるでしょう。
[と、今の僅か一発言に三個くらいの嫌味を含ませて。
本題である文書の真贋の話になれば、真剣な表情を浮かべ。]
……文書が保管されていたのは書庫の最奥部。
あの場の鍵を持つのは陛下と尚書閣下のみ。
故に、もしも"遺言は偽物"だったと仮定するならば。
偽造が可能なのは尚書閣下およびその周辺の者に限られます。
[先王陛下が持つ鍵は陛下しか持ち得ない。
ならばこういった結論に達するのは当然の帰結と言えた。]