―→パン屋―
[はてさて、足の向かう先は矢張りパン屋だったよう。
コンコンと叩くのは本日二度目。
叩きながらも戸を開けば、鼻腔を香ばしい匂いが通り抜けていった。
中には主人の他にまだ人がいただろうか。
いたのならひらりと片手で挨拶代わり。]
――…出来てる?
[もどかしく主語を欠いて尋ねれば、主人…オットーの反応はどうだっただろう。
用意が成されていたにしろいないにしろ、ついでに古馴染の旅人のことも聞いてみることにしようと心に決めていた。
返事を待つのも惜しく、目線は落ち着かずにうろうろ…うろうろ。]