[ゲオルグはその場所が好きだった。随分前から──…海軍総司令になるなどよりも昔から、時折、この宿へと足を向けている。ここはカルボナードともカリコル島とも違う、静かな場所だ。ゲオルグの顔を知る者も時にいなくはなかったが、多くない。今はリオレ島にいるテオドールに昔教わって、気に入って以来、折に触れて通うこともう何年になるだろう。ここで提供される海の料理は絶品だった。今日はここで、古い戦友《とも》を待っている。]