[悲痛なノトカーの叫びが聞こえていなかったわけではない。
だが、それに反応する余裕はない。先ほどは向かえが見事なダイビングキャッチで助けてくれたが、次の落馬は本気で死にかねない。
その判断は、自然に――命が惜しければ何もしゃべるな、おとなしくしていろ、と指示されているように見えただろうか。
言われるまま伏せ、今度こそ振り落とされないように、じっとしていた。
冷たい吹雪に、向かい風に身を切られそうだが――]
[
「カサンドラさまああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」の見知った部下の悲鳴に、再び橋に戻ってきて、そして公国側へ渡りついたということを、把握した。]