「それね、二重底なんですよ」[骨董品屋の親父がうれしそうに言う、手にした懐中時計の隠れたセールスポイントを聞いて、即購入を申し出た。 寮の部屋に戻った後、ごく小さな紙にメモをしたため、二重底へしまう。 彼がいつか……そう、シュヴァルベを離れた後にその存在に気づくのであれば、規則違反ではないはず。 そこには、] "Kirk von Baumgarten《カーク フォン バウムガルテン》, Principality of Feder《フェーダ公国》" [自分の本名と出自を明かした文が記されており、裏を返すと、] "Thank you for being my soul friend.《ありがとう 我が友よ》" [かけがえのない7年間に対する、友への感謝の言葉があった。]