[何にせよ。今更、情報の出どころとなった人間を始末したところで噂は不穏さを増すだけだろうし、かと言って金を渡したものを特定するのも難しそうだ。
そう判断し、また黙考。
その後、魔術部隊のうちの一人の人間に声をかける。
かつては魔具の商人をしていた者だが、強者が誰かという事を目敏く見ぬき、魔王軍に加入した経緯がある。]
お前、確か商いの心得があったな。
我が軍から、直近不要な魔法の道具を幾つか見繕って、カトワールまでの道のりで金に変えてこい。一触即発の空気は既にあるはずだから、乗ってくれる者も多いだろう。
その時に。さり気なくこの話に触れて、情報を操作しろ。
「作り話としては面白いが、ゴブリンやオークを使うような部隊がそんな賢いことするわけがない」「解放軍が事実を隠すために、奪いとった装備を使ってまで一芝居打っているというのが本当らしい」、とな。
……我軍を貶めるのが不服か?……全くお前は真面目だな。だがこれは命令だ。遂行してみせろ。
任せたぞ。無事生き延びてカトワールで合流するようにな。
[と任務を与えて、送り出した。
情報が一色にならなければとりあえず成功、とばかりに]