― 外壁上 ―
[ 真剣を使っての仕合だから、切っ先が掠めただけでも互いに傷はつく。
自ら承知で始めた事だが、相手の肩をレイピアが掠めれば、僅かに眉が寄った。
しかし、手を緩める事は無く、更に一歩踏み込もうとして、イェンスの振り上げた大剣の動きに、足を止めた ]
...っ!
[ 大振りに見えても、大剣の重さを乗せた一撃は意外に動きが速い、とは、経験則で知っている。しかし、足場は横に避けるには足りず、半端に身を捻った結果、刀身は腰を打つ ]
こ、の...!
[ 痛みよりもバランスを崩された影響の方が大きい。なんとか、足を踏ん張る事に精一杯で、レイピアを相手に向ける余裕は無かった。
それでも、追撃を喰らうわけにはいかない、と、腰から左手でダガーを抜いて、咄嗟にイェンスの方へと投げる。
狙いをきちんと付ける事は出来なかったから、牽制か足止めがせいぜいといったところか* ]