― 氷の橋付近・B ―
なるほど、ご丁寧なこった。
[特別製の弾丸、という言葉>>230に苦笑いが浮かぶ。
小太刀を直前まで握っていた左腕は、完全に麻痺して動かない。
右手と両足は無理をすれば戦えないこともないが、いつも通りの動きは不可能。
いまだ警戒しながら近づいてくるジェフロイと、銃口をこちらに向ける騎兵たちを睨みながら煙幕を張れば。
白煙の向こうから驚く声>>231。
騎兵たちがいた辺りから銃弾が数発放たれたが、煙が上がるとともに当然移動していたから、大半は掠りもしない。
数発、表皮を掠めるが。深手にはならない。
煙が消えるまでのわずかな隙に、先ほど取り落とした小太刀を拾い鞘に納め。
微かに震える右手で、ベルトに差していたナイフを抜き、近くに居た騎兵の喉があるだろう空間へ気配だけをたよりに投げ、馬を奪う]