━ 劫天の間・現在 ━
なんだと?これならば人に似ていようが。
頭もちゃあんと一つきりだのに、どこが良くないというのだ我が王よ
[出だしから小さな躓きはあった。
魔王テオグラナーダの前で、半人半蛇の魔族は腕を組んで首を傾げた。
腰下の蛇尾も優美なるその身の丈──実際、高いドーム天井に届くほど。
天獄の泉においては、人の似姿をとるように。というのが調教施設におけるある種のルールであるらしい。
これでも命に従ったつもりの魔物が、長い赤毛を備えた人面の頭部を振ると。間近に吊り下げられていた照明役の天使が撥ねられてどこぞに叩きつけられる音がした。
サイズ感の齟齬について指摘されれば、優しげに整った顔貌の中心に小さくシワを寄せ、
……せまい。 と呟くか]