― Nルーム ―
[並ぶコクーンを見ると、この状況は永遠に終わらないかのような錯覚を覚えつつ、目的の繭へと近づく。
それぞれに花を置いて、彼らの顔を目に焼き付ける。]
みんな、眠ってるみたいなのにね……
[蓋の銀色の部分の羊の刻印を見ながら、皮肉なものだなと口を歪めた。
"安らかな眠り"であれば、どれ程いいか……。
おはようと、起きてくれるのであればなんて、……そんな非現実的な逃避すら起こさせる。
全体が見える位置まで下がり。
目を閉じて黙祷を捧げる。
大きく息を吐きだす代わりに、覚悟を拾い。
……次に目を開けたときには、いつものように笑えるだろう。
(恐怖や悲しみ恐れや不安……都合の悪いもの全部……預かっててくれるかしら。)
(やることを終えたら……また取りに来るから。)
"今"を、ちゃんと動ければそれでいい。
後に押しつぶされそうになったとしても、……後悔がないように、と。
ただそれだけを……想い祈った。*]