[非常勤講師として学館に赴いていたシロウは、
剣術や戦術の知識に長けた人だった。
剣については、自分が扱っても碌な結果を招きそうになかったので
皆の訓練を眺めるに留めたけれど。
地の利を活かすなど、戦術についての彼の授業は、
身を入れて聞いたものだ。
そういえば、シロウ教師にもハート羊羹の贈り物をしたっけ――。
可愛らしいラッピングは、一人の女性徒が一際気合を入れてこしらえていた。
周りからちょっと、からかわれていたようにも思う。
頬を赤く染めながら、そっと贈り物の準備をする彼女の姿は微笑ましかった]