[魔の挙止に、"目"もまた焦ったものらしい。玉座の後ろから背伸びするように覗きこみ、すいと引っ込んで細かく震える。放たれた矢を防ごうとしたものか、触手様の構造物が伸びて、魔の前に庇を作ろうとした。そこへ、細く鋭い光の槍が飛び来たる。>>241魔の関心は完全に逸れていたし、気づいていても防げるタイミングではなかっただろう。氷剣のごとき一閃は、慌てて引っ込もうとした"目"の端を切り裂き、城塞に当たって砕け散った。烈しく震える"目"の動きと呼応するように、城塞が岩の軋みを上げて哭く。*]