[ネリネを切らしたことがない、そう告げると彼は暫し固まって。
眉を下げ、どこか困ったように、ずるいと告げる。]
ずるくなんてないわよ。
だって、本当のことだもの。
それに。
……自惚れて貰わないと、困るわ。
[ずるいのは、ローの方だ。
明日誰かに会いに行くために眠れるという喜びを覚えさせておいて、唐突に、いなくなってしまったのだから。
長く続いた軟禁生活が終わったのだと思えば、それはとても喜ばしい事だったけど……同時にそれは、自分にとって別れを意味した。
"また会える日をたのしみに"
そんな言葉を持つ花……育てるに決まっているじゃない。
あわよくば……そこに若干の期待を込めながら……毎日、毎日水をやる。
嘘なんて言ってないわよ?
そういう気持ちを込めて、じっと彼の目を見た。]