[宿泊所へ向かい歩いて行くカークの背中を何か考えるように見送って、その姿が見えなくなって暫くすれば帰路につく。
その折に砂浜に落ちたばかりの手帳>>244は埋もれるもなく、波にさらわれもせずに月明かりに照らされていて。]
月夜の晩に拾ったボタン
波打ち際に落ちていた
それを拾って役立てようと僕は思ったわけではないが
何故だかそれを捨てるに忍びず…と。
…この詩を読むのは今日二回目か。
まあ、どちらもボタンじゃないが。
[感傷的な気分になっていたせいか、男にしては珍しく長い独り言を言いながら、詩に出てくる男と同じように、それを拾って袂ではなく懐にしまい込んだ。]