[その同室者、オズワルド・グレーナー中佐が自分と同じ艦に乗ると知った時は因果めいたものを感じたが、やはり男は彼に会いたいとは思わなかった。
むしろ、出来る限り会わないようにしなければと思った。
――自分と兄はよく似ている。
兄の死を迎えて以降、一歩他人に線を引くようになった―それでもこうして部下達とまともにコミュニケーションを図れるようになった―自分より、おおらかな性格の兄の方が柔和な印象を受けるだろうが。
丁度死の前年くらいの年頃の自分の顔を見れば、あまりいい思いはしないだろう。
所属する科が違い、業務時は見張り所に詰めている事の多い自分は会う機会も少なく。
それには彼が食事をあまり摂らないという事もあったのだが、その話を聞いた時は無意識に拳を握りしめていたものだ。]