― ヨセフ出立前 ―
[ 響き渡ったコエに、男は、思わず逃げ場を探して視線を彷徨わせたが、当然、そんなものはどこにも無い ]
待て、リー、ちょっーっと待て!
俺は、だいじょう...
[ 問答無用とばかりに迫ってくるアイリの勢いに、遂には壁際に追い詰められて降参する羽目になる。
昔と違って涙目でこそなかったものの、アイリの顔に浮かぶ表情は、男から抵抗の気力を喪わせるには充分だった>>209 ]
王都に戻れば、神殿の治癒術師にも頼めるから...て、おい、リー!
[ 不承不承、胸元を開いて火傷を見せると、人の話を全く聞かず、紅い雫が傷の上に落とされる ]