― 現在:花屋『Florence』 ―
[ガバリ、と唐突に目が覚めた。
気分は開店時間まで寝過ごしたあの時の、何とも言えず焦ったような気分。
そして、壁にかかった時計を確認し、ホッと一息つく。
思っていたよりも、時間は経っていなかった。
しかし、体感的にはものすごく長く寝たような気分になっており、焦ったのだ。
栽培室の人工光が眩しく、朝を告げている。]
……思ってたより、効くのね。
でも、目覚めはいいわ。
私は、夢をみなかったけど……
カレルはどうなのかしら……
[手元の使用済みの薬包紙を目線の高さに掲げつつ、ポツリと呟く。
とりあえず、試作品だといって手渡してみよう。
もし駄目そうなら再度配合を変えて作ってみることにして。
そう考え、作業机を片づけて、更に奥手のシャワースペースへと向う。
動きっぱなしで、汗もかいたし、一度サッパリしておきたかった。
清潔なTシャツに着替え、綺麗サッパリした状態で、頭をタオルで拭きながら、栽培施設の方に戻って。
髪が乾くまで、花束を作ることにする。]