[悩んだ結果――皆で選んだのは、小豆の羊羹だった。ひとくちサイズで、ころんとしたハート型になっている。淡い桃色の袋に、幾つかそれを詰め込んだ。赤と橙の飾り紐で、丁寧に蝶々結びをして。学館の教師の皆に配ったが―――確か、一番喜んでくれたのが、マーティン教師だったと思う。表情がにやけていた…のは、記憶違いだったかどうか。生徒からの人気も高かった。まだまだ、多くの者が彼に学びたかっただろうに。だから――――惜しい人を…、と切なさは尽きぬ]