[ 一時吹く風ほどの軽さで、 さらりと囁いた言葉は 眼前の彼女に聞こえたかどうかほど。 きっと周囲の誰も聞かれてはいなかった。 ] 人は間違いを繰り返す生き物だ。……でも。 ラメールの民はそうでないと信じているよ。[ 思えば長い年月をこの国で過ごしてきた。 諍いや争いを見たくはないとも思っていた。 故に言葉の中に嘘はなかった。 …ただ一つ。 更なる恒久的な平穏の為に 自ら不和の種を蒔いている事実を除けば。 ]