― 少し前・森の中 ―
[はっきりと、意思を持ったレトの言葉が意識を現実へと縫い止める。
背から首へ、襟元へと辿る指先が
彼のネクタイを掴んで軽く此方へ引いた。]
――…、……。
[未だ口腔へ溢れる血液を、ごくりと飲み干す。
言葉を発する事が出来なかった。
回復に、時間を要す身体になっていた。
ふわり、彼の前に白いイドが現れ、男の意思を伝う。]
「"殺す"為に、私もオズワルドの血を、啜った。」
「――憎いか?」
[オズワルドと彼の結びつきを知らず、
けれど、何かしらの繋がりがあるが故の…
あの光景だったのだろうとの自覚は存在していて]