私は、
[不意に宙を舞い、シャンデリアから降りてきた流麗の影に声は揺らぎ、言い淀む。
折れた剣である己は、もはや倒すべき魔である青年を滅殺することもない。
加えて流れる心、未成の魔に血を与えてくれた、この指先を拒めはしなかった。]
悔いる、というのは、自らの意志で魔になったものが言うのだ。
[触れるがままに受け入れ、哀しみに沈んだ黒瞳を見つめ返す、]
今の私がそうであれと神が定め給うたものならば、私はそのように在るしかない。
耐え難いと感じるのは私の弱さ故であって、定められたことを否定するのは不遜だ。
[だからアレクシスが苦痛に感じる必要はないと、言いたいのだが、折れて尚神の剣である男はそんな言い方しかできなかった。]