[ファミル・アンディーヴが死ねばアンディーヴの家督と商会の長としての権限は、アンディーヴ卿に引き継がれる>>1:662それに難色を示す者も存在したが、ひとまずのところ、首都にあったアンディーヴ卿とファミル・アンディーヴの間に共謀の証拠はないとして、かれの身辺に類は及んではいない。
無論これは、アンディーヴ卿自身のこれまでの立ち回りの努力の賜物であったのだが。
馬鹿な姪だと、報に接した卿は人に話した。
それは本心であろう。その心の向き、中央とは些か色を異にするといえども]
(───馬鹿な娘だ。)
[アンディーヴ卿はかつて、兄に代わって商会の仮代表を務めていたことがある>>1:217 だから海峡を開く、その有用性を知っていた。ゆえに平和裏に海峡を開放すること>>1:496、それを望む声の一端にも名を連ねたのだ。開放の代償に、命をとまで望みはしなかったものを。]