― シュビト郊外・夜 ―[流れ雲が多く、星の少ない夜。遠く臨むシュビトの街並みは、記憶のものより街の灯りが少ないようにも感じられる。シュビトから避難していった者も多いと聞いた。避難――いや、解放軍の盟主に付き従ったという方が正しいだろうか]……―――、[素手を遊ばせた指先を、夜に晒す。頬を過ぎる外気は、春といえどまだ冷たく。熱は易々と奪われてゆく]