― 帝国前進拠点・一室 ―
……斥候隊隊員、カディーネ中尉です。
[音を立て、入ってもよろしいですか、と問う。
ウェルシュ・ドーベルニュ。
……かつて同室だったヒンメルの所へ、何かの本を借りに来ていたという記憶はあったが、
顔を突き合わせて、何かを語ったことはない。
それでも、いくつかの講義や食堂で行き合ったりはしていた。
知人だろうが友人だろうが、階級は階級。シンプルで厳然たるルール]
……増員と、それに伴う作戦等の具体的な指示を伺いに参りました。
[良い角度の敬礼と共に、滑らかにそう口にして。
携えてきた地図を、空いているテーブルに勝手に拡げはじめる*]