[けれど、過酷な旅に少女の心は擦り切れていき。――やがて、転機が訪れる。新たに少女を買い入れる為、物資の補給が必要となった人買いが、リゼットに暫くの間、自分を『伯父』と呼ぶよう命令したのだ。人買いであることを隠すため、彼は人前では姉妹と血縁の振りをする。つまり、彼の言葉はもうすぐ人里に出るということを意味していた。久方振りの休息に、人買いたちの気も緩んだのだろう。夜には商品が逃げ出さないよう立てられていた見張りが、居眠りをしていたことに気付く]