[幸か不幸か……私の脳に住む"生物兵器"は、随分古代の、しかも亜種も亜種という、非常に弱い珍しいもので。
酷く大人しく……未だに何の兆候も訪れていない。
失敗だ、証拠は全て隠滅せよとの意見が多く提議されたらしいが、ある男がそれを留めた。
もしかしたら、成功例かもしれない……と。
年数経過に伴う経過を観察してもよいのではないかと主張して、今の私が存在する。
高い階級を与えることで、個人単位の監視レベルを強化して。
いつでも処分できるよう、船から降りることを禁止した。
多分船員には知らされていないことだが、"最悪"の場合シルバー・メリー号ごと証拠の隠滅を図るつもりのようだ。]
"嫌よ、ぜんぶいや。"
"生きているのがいやなの。"
[そう言って、短刀を喉元に向けた少女は、今もこうして生きている。
その後に何があったのかを思い出すには、少し肌寒くなってきたかもしれない。*]