― →二階個室 ―[やがて駆け込んだ部屋、息子の姿が真っ先に目に飛び込んでくる] ――――…シメオン、無事で……、ッ[分かっていた。息子が酷く傷を受けたなら、その位直ぐに知れると。己の目でも確かめて漸く、すぐ傍に居るジークムントの腕から流れる鮮血に視線が止まった] ……ジークムント様、[小さく息を飲み、言葉が継げなかったのは、酷く痛々しいその傷を案じたのもあるが。真っ先に目がいくべき筈の所に、そうできなかった己に愕然として]