― 街へ出る前の ―
……もちろん、此れからも
何事もないに越したことはないけれど
此れまでは本当に何もなかったのかな?
[ 幾らか時を遡る王宮の夕刻。
黄昏時に交わされた言葉は知らないけれど
"何事"を危惧するのは先のことだけで
それで、本当に良いのかと尋ねる風に。
穏便に済ませられるなら、
密かな不和の種には目を瞑るのか、と。 ]
ラメールは今まで…本当に平和だったのかなぁ。
[ 根本的な疑問を投げかけた。
真実にまで口及びはせず。
けれども、多くの人間には
受け入れ難いだろう確たる事実を。 ]