― 数日前/首都カルボナード ―
戦場では遭いたくない男ですね。
[ ルートヴィヒが帰路についた後、ゲオルグから投げられた問いに>>231男が漏らしたのはまるっと本音だった。
軍を指揮する立場の者としては、口にすべきではない言葉かもしれないが、この時ばかりではなく、男はゲオルグに対しては、普段は決して表に出さないような内心をぽろりと零してしまうことが多々あった。心の声が繋がることと、それは決して無縁ではなかったろうが、それだけではない、と、誰よりも男自身が感じている。
ゲオルグの自由で広い海そのもののような魂に触れていると、自分の持つ意地や拘りが、ひどくちっぽけなものに思えてきて、結果的に心の奥まで曝け出してしまうのだ
それと同じような感慨を帝国扶翼官が抱いたとは、男も知らぬことだったが>>162 ]
だが、戦場でなければ、もう一度、酒を酌み交わしてみたくもあります。
[ そう付け加えて、かつての邂逅をゲオルグにも伝えた男と、帝国扶翼官は、全く違うタイプの軍人でありながら、どこかに似た芯を持っているのかもしれなかった** ]