― 回想・8年前 ―
ほう……。思ったよりは、やりますね。
[息ひとつ乱さないで、少年の身体に痣を増やしながらも、この時点では最大限の褒め言葉を送る。
事実、言葉はまだ冷たいながらも、諦めずに何度も立ち向かってくる少年の姿には感心して、今回限りはとことん最後まで付き合ってやる気になっていた。
何ひとつああしろ、こうしろとは言わない。
その代わり、どこをどう蹴られれば、どう痛むのか。
それを避けようとすれば、どう動けばいいのか。
本人が体術を使いこなせるだけの力量があれば、必ず覚えられるはずだ。
と、ある意味妙な信頼を寄せながら、何度も倒れる少年の姿を見つめ]