―――…、それは愉しみです。[言質は取ったとばかりに、揺れる語尾を補強する。>>228それにあわせて、広がる闇手は互いの身を包み込み、一度大きな球体を造ると水面を打つに似た音を残し、影に紛れ。己の支配下にある森は庭に等しく、影を伝い距離を無に返す。雫が宵闇を経由するのはほんの僅かな間だけ。彼女にとっては瞬き程度の経過。再び影から生まれた雫が球体のまま膨れ上がり、闇は幕を引くように退いて、開ける視界。次に見た世界は寝台の天蓋裏ではなく、明かず森の藍色。]