―― メイン・サロン ――
[メイン・サロンに人影はなかった。
片付けられ、がらんとした広いホールには、それでも先のドロイドとの戦闘の爪痕が刻まれている。
矢が刺さったと思しき辺りに目を遣れば、それも片付けられていたようで。
静まり返る広い室内に、二人分の足音が響き。
トールが向かった先は――…
ああ、成程、と。
いつかダーフィトが持ってきた、あのギターに視線を遣る]
ギターは弾けないな。
うん、そもそも、バイオリンしか無理だ。
餓鬼の頃から、それだけ。
色々できるんだな、ハーモニカも吹くって言ってたっけか。
それを取りに来たのか?
[ホールの壁や天井に響いた音の残響を、心地よさそうに耳で追いながら。]