[ひとつの問いがいくつもの物語を引き出した。けれど、ベリアンにとって一番重く感じられたのはテオドールの真の名だ。術に使うつもりはない。質とするつもりも、政治的にどうこうするつもりも。 ただ──、彼が持ってゆけなかったものを、拾い上げんがため。 生きながら死んでゆくことを決めたこの男への、せめてもの救済たらんと、胸に抱く。]