― 温泉 ―
殺せたら殺すけどねー。
でも無理だってわかってるしなー……入って来られたら覚悟決めるわ。
……操られていたら入ってくるのかねー。
[意趣返しというかからかいの続きではなく、諦めに近い声。
でもどこかで絶対に入って来ないという確証は感じていた。
それが若干つまらなくもあったのだが……]
ん、ありがと。
待っててくれるのはいいけど、あたし長湯する方だかんね?
[入り口まで行き置かれた石鹸を手に取れば、戸越しにそう声をかけて。
柔らかい声で礼は言うようになったが、身体を洗い流して湯船に浸かっても、早く上がって代わってあげようという気は一切なく長風呂を楽しみ始めた。
疲れで注意力がやや散漫になっていたのか、何かの気配があったとしても気付かないかもしれない。*]