[ 彼女の兄の話は兎も角、
奴隷の話まで聞けたかどうか。
詳しいのはル・ウルタールの文化と制度について
勉強したことがあるんだよと軽く言い添えたら、
彼女も気にしていたようだった>>56兄の件について
今度は僕から話そうか、と言いおいて口を開く。 ]
……実はね、僕も兄を亡くしているんだけど、
兄貴も君の星で言うところの"狼の呪い"…
つまりは"人狼"だった。
――――僕もね、兄貴に殺されそうになったんだ。
[ 言葉にすれば、数年前の惨劇が思い出されるけれど
誰かにとっては悪夢>>225のような体験でも
"今の"ロー・シェンはあれは仕方のないことだったと
寄生生物にとって不都合な思考と認識が歪められ、
大きく変えられてしまっていることには自覚のないまま
起きるべくして起きた事故だったと認識していたから。
まるで遺跡の話でもするような淡々とした調子で言葉を吐いた。 ]