……ただ、さ。
俺は……願えるなら、『個』を見てほしい、って、思う。
カナン殿は、俺が半妖だって知った時。
妖の血を引くから、とか、人じゃないから、って理由で、拒絶はしなかったよね?
それと同じように。
南東群島連合に所属する国の出だから、ってだけで、拒絶しないでくれたら、俺としては、嬉しい。
[少し落ち着いた声で綴るのは素の、そして、心からの願い]
少なくとも、あの時……私掠艦隊と出くわした時の、アイリの様子は。
艦隊の横暴に対する怒り方は、俺には演技には見えなかった。
だから、俺は、アイリを信じてる。
アイリ、っていう、『個』の存在を……『仲間』として、ね。
そして、おんなじように、カナン殿や、この船団の皆も信頼してる。
同じものを見たいって願うもの同士として。