傷の手当を。
目覚めたら食事を取らせてやれ。
…あとは着替えを。
[少年が目覚めた時、彼は新たな衣服を目にしただろう。
元々纏っていた彼の衣服はそのまま処分された。
伝令は速やかに、アルブレヒト・ノイアーの元へ遣わされる。
曰く、『遠縁の少年を保護しました。』、と。
更には『怪我を負っているゆえ、少し休ませた。』…、とも。
少年の身の上について推測は成り立ったものの推測は推測でしかなく、しかし少なくともノイアー卿の名を出すならば、少年にはノイアーの元へ辿りつければ、どうにか出来るだけの見込みがあるのだろう。
ならば男にしてやれるのは、せめて少年に食事を取らせ休息と衣服を与え、ノイアーの元へ辿りつくための手助けをしてやることだけだった。
それ以後のことは、この少年の才覚に掛かっている。
そうは思いながらも、やはり、後日彼の無事な姿が見られれば内心嬉しくも思ったものである。]