負傷兵 シモン

― 食堂 ―

［夜の食堂は、足音が部屋中に響く程にガランと静まり変えていた。
テーブルの上には、昼の間に買い込んだのか、大量のパンが入った籠がいくつか置かれてあった。>>0:1225
食堂の対面のカウンターの奥に置かれている酒もそのままだ。］

よかった、これなら数日の食事は困らないな。

［あいにくオススメされたチーズの居場所が解らなかったので、バゲットを数切れと赤ワインを拝借し。
グラスを右手に掲げて］

それじゃあ、いただきます。

［ワインを一口胃に流し込み、冷えて固くなったバゲットにかじりつく。噛みごたえのある食感は噛む毎にほぐれるように変化し、口の中に麦の甘みが広がる。］

――美味い……

［皿に取った数切れをあっという間に平らげ、次はロールパン、その次は*フォカッチャ*と、結局4種類ほどに手を出した。
ワインの方も一口かじる毎にワインを一口という調子で、あっという間に1瓶空になっていた。］