[すらすらと台詞を読むかのように慣れた口調で、主への感謝の気持ちを示せば。
ほんの少しだけヤコブの表情が曇った気がした>>233。
3年前。ヤコブは肩に大きな傷を負って村に戻って来た。…がこの村の教会を任されたのはそれよりも少し前。詳しい事情は聞いていない。
ヤコブの真意を図る様にじっと見つめてみたが、彼の気持ちを察する事は無理だった。
気軽に教会に寄って欲しいと声を掛けたものの、同意とも拒否とも取れる曖昧な返事に…の表情が僅かに強張った。
それでも笑顔を作ってヤコブを見送った。彼が教会を離れた後、…はひとり肩を落とした。
ヤコブと会話をしている間に小さなお客様が訪れていた事にも気付かないまま>237。]