― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ―[ゴォォ、と渦巻く冷気は空気中の水分を凍らせながら突き進む。けれど、やはり威力が足りない。鬩ぎ合いは一瞬、押し負けた冷気は勢いを失なった氷の結晶をキラキラと巻き散らして吹き消されてゆく。そして風の刃が水色の竜と乗り手に殺到した]……きゃぁぁぁっ![目を庇った腕から、肩から、胸元から、宙に朱が幾つも散る。鞍と体を固定していた帯も切れ、空中に放り出された。ルゥゥゥゥ!と氷竜が悲鳴のような声を上げながら、自身も水色の羽と雫を散らして、その後を追う]