[セルウィンが「ご無事ですか」と声を掛けたのと、シグルドの「お疲れ様」はほぼ同時。
けれど、タイミングの被りに目を丸くしたのは束の間の事だ。
シグルドは、セルウィン自身が倒した蝶の分だけじゃなく、彼が倒した蜂の分までジェムを握らせてきた。
確かに切り傷は血が流れる分、見た目派手に負傷しているように見えるけれど、と驚きを通り越して、半ば困惑気味に彼を見上げる]
あの、いいのですか?
そんなにひどい怪我ではありませんよ。
[魔力不足がそろそろ深刻になりつつあるのは事実だけれど、彼の方だって万全な風には見えない。
問う声には、お人好しすぎる彼を呆れる色と、この先大丈夫なのだろうかと案じる色が半分ずつ混じった]
もし大丈夫なら、有難く頂きますが……。
[とはいえ、怪我はともかく、魔力不足の方は問題だ。
彼が快諾するようなら、蝶の五つ分に合わせて、彼の倒した蜂の分も、傷の治療と魔力の回復に充てる]