[話の内容はそのまま、街の噂話の方へと移ろっていく。>>224]
そうですね、ただ ……───
[一旦圧し黙ってから、再び口を開いた。
それは、少し距離を詰め、一層と声を潜めて。]
宮内の者には、
…特に、気を付けてください。
拡がってはならない筈の話までも、
城下町の民衆に拡がっているのです。
[そこまで話せば、後ろに一歩踏んでから手を身体の前側に添え、恭しく一礼する。]
では後程、 “風の便りを御待ちください” 。
[そうして出て行こうと扉を押し開けてから、「あぁ」、と、さも今思い出したかのように、僅かに振り返って言うのだ。]