[炉の出力を絞り、回路を歪め、各所に重石を加えて力を分散させる。力の増幅器官を切り落とし、幾重にも封印を掛け、己の望む形に剪定していく。
複雑過ぎて、あるいは魔神の目を恐れて誰もやらなかったそれを、魔は熱心に行い、やり遂げた。
強大な力に自分の手綱を掛けていく作業は、実に楽しいものだった。
初めての贄には、目障りだった魔王を選んだ。
たいした力も覇気もないくせに、過去の栄光ばかりを振りかざす無能。
魔力だけは豊富だったから、餌にはちょうどいい。
甘言に乗せ、"それ"の前までおびき出し、殺した。
裏切ったなと罵る声はなによりも心地よかった。]