[昔、エディと平原を駆けまわっていたころ、
ストフェ湿原近くにある葦原も遊び場のひとつだった。
少年の背丈よりはるかに高い草の間をかき分けて探検気分を楽しんでみたり、両手いっぱいに束ねた葦を川に浮かべて小舟もどきを作ったりしていた。
調子に乗って飛び乗ったら舟はあっさり沈んで、ずぶぬれになったものだけれども。
そんな風に遊んでいたある日のことだ。
慣れが油断を産んでいたのだろう。
風が、その日は悪かったのかもしれない。
あるいは、危険な植生の場所に足を踏み入れてしまったか。
身体がだるいと訴えるエディを集落に連れ帰ったその夜から、彼は高熱を発して寝込んでしまったのだ。>>0:163]