いやあ、警備員の仕事がないのは
船が平和だってことで、ひとつ!>>216
それでもうん、ちゃんと散歩――じゃなかった、
スノウとラヴィ探し――でもなかった、
船内パトロールとか、してますから!
[実際、船の中を歩き回って様子を確認することにかけては、他の同僚たちの何倍も手間暇かけている自負はある。
警備員、という仕事も、これはこれで気に入っているのだ。
人を守る仕事で人の役に立てるなら、それ以上のことはないんだ。
元々、その逆の存在だから。
軽く睨むような表情は、ふりだというのは直ぐに分かったから、ぺろりと舌を出してみせる。]
そうですねえ、確かにみんな優秀なんだろうなあ……
あ、俺も一応、優秀なんだ、やった!
ちょっとでもそれで、ガートルードさんが休めてるなら、
いいなあ。
[彼女の挙げる面々――知らない名前もあったけれど、一人一人の顔を思い浮かべる。
古くからこの船に乗っている古株のベテランもいれば、自分と同様、最近この船に乗り込んだものもいるようだ。
それでもやはり、上に立つものというのはそれ相応の職務や心労があるものなのだろう。
軍医であった養父が、そのようなことを言っていた。
どこか心配そうであった髪と同色の土色は、ふと和らいだ翠緑に、ほっとしたように弧を描く。]