[それはいつのことであったろう。バタバタと仕事をこなしていた時、本部の窓をコツコツと鳴らす音があった。何だ、と音のする方へ視線をあげて。ほんとに鳩が来た。などと呑気に思ったという。受け取ったのは、イマイチ決め手にかける情報。しいていうならば情報がないということが情報というくらいか。]出生国消失…──か。[短い報告を受け取ると、鳩を再び空に離した。鳩は主人の元へ帰っていくのだろうか、としばらくのんびり眺めながら。]